1920年代
事務効率化の夜明け、革新の一歩を
経営・事業
くろがね工作所との信頼関係
1927(昭和2)年
創業期の当社の発展を支え、以来長く主力製品であり続けたバイデキスの製作を引き受けたのが、くろがね工作所の三村和太郎社長であった。バイデキスの原型は米国カーデックス社製のビジブルレコーダ「Kardex」で、当初田中啓次郎社長はその国産化を三菱造船所に依頼した。ところが技術的に難しいと断られ、開発はいったん行き詰まっていた。一方で三村社長は1927(昭和2)年にくろがね工作所を設立し、日本事務器商会のショールームに度々顔を出していた。そのとき見本品として持参したセキュリティケースの出来ばえを見て気に入った田中社長が、くろがね工作所に声をかけた。田中社長は製造に必要な設備を好条件で三村社長に提供し、三村社長は田中社長以外にバイデキスを卸すことを一切しなかった。この二人の深い信頼関係が、バイデキスの誕生につながった。その意味で、三村社長はバイデキスのもう一人の生みの親ともいうべき存在である。